こもれびが、いきものみたいに、青葉に、反射している季節に、
おんなは、決心したのだ。
優柔不断で現実感のないおとこを、すてようとすることを。
おんなにとって、おとこのそうした部分が、かわいくて、
ほかのおとこにはない感性のように、かんじていた。
だから、10年以上も、おとことくらしてきた。
おんなは、かわった。
年月が、おんなをかえた。
おんなは、かわるものだ。
おとこは、かわらないものだ。
ある晴れた夏の日に、かくれんぼを、しようと、
おんなは、おとこを森にさそった。
おんなは、おとこと別れる手段に、かくれんぼえらんだ。
おんなは、おとこのジャンケンのくせを、しっていた。
いつも、最初に、グーを、だすことを。
ジャンケンを、する。
簡単に、おとこは、鬼にきまった。
おんなは、木立の陰から、そっと、おとこを、みていた。
おとこは、右腕を両目にあてて、数をかぞえていた。
おんなは、さよならとつぶやいた。
おとこは、数をかぞえつづけた。
おとこが、目をあけたとき、
おんなは、森に消えてゆく。
そして、そのとき、おとこは、鬼のまま、おんなに、すてられる。
コメント