黒べこが、
こっちを、みてる。
 
かなり、変だと、
黒べこにも、
わかる。
 
じいちゃんも、
ばあちゃんも、
いない。
 
とうちゃんも、
かあちゃも、
いない。
 
突然、柵を、
はずされ、
畦道の、
草をたべている。
 
ねいちゃんも、
にいちゃんも、
いない。
 
町には、
ひとが、いなくなった。
 
とても、
変だと、
黒べこにもわかる。
 
いつ帰って、
くるんだ。
静かすぎる夜は、
とても、不気味だ。
 
闇は、
重たい。
 
黒べこが、
こっちを、みてる。
 
首を、かしげて、
こっちを、みてる。
 
おかしいな、
小川は、
ちょろちょろながれてる。
 
草木は、
風に、ゆれている。
 
空には、
雲が、うかんでいる。
 
でも、変だ。
かなり、変だ。
とにかく、変だ。
 
それは、
黒べこにも、わかる。