たまたま 
古本屋で 
みつけた 
一冊の文庫本を 
よみ終えた 
 
最終ページを 
みると 
昭和38年8月22日求ム 
長谷川節子と 
万年筆で 
記されている 
 
48年前の今日 
節子さんが 
どこかの書店で 
この本を 
購入したのだ 
 
もちろん 
節子さんとは 
面識がなく 
 
まわりまわって 
ぼくの手元に 
この本が 
たどりついた 
 
節子さんは 
今 
生きているのか 
もう 
なくなって 
しまったのかも 
わからない 
 
48年前の 
今日は 
どんな 
天気だったのだろう 
 
48年前の 
日本は 
どんな 
国だったの 
だろう 
 
節子さんは 
どんな 
気持ちで 
この本に 
手をのばしたんだろ 
 
ぼくは 
そんなことを 
かんがえた 
 
一冊の本が 
時空を 
越えて 
はなしかけてくる 
 
節子さんは 
この本を 
よんだのかな 
それとも 
求めても 
よまなかったのかな 
 
48年間は 
ながい時間だろうか 
みじかい時間だろうか 
 
節子さん 
節子さん 
はなしかけて 
みたくなる 
 
いまから 
48年たったら 
ぼくは 
まだ 
この世に 
いるかな  
 
48年前の8月22日 
節子さんが 
購入した本を 
48年後の8月22日に 
ぼくもよんだ