20時 
あまり 
広くはない 
交差点の 
シャッターの 
おりた 
洋品店の 
前に 
屋台が 
でる 
 
屋台の 
おやじは 
ずいぶん前から  
脳梗塞で 
からだの 
右側が 
不自由だ 
 
左手で 
器用に 
ネギを 
刻んで 
ラーメンに 
のせる 
 
お客さんに 
なにを 
いわれても 
ああ・・ 
としか 
答えない 
 
すみきった 
鶏ガラ 
スープを 
すすると 
体中に 
しみわたる 
 
ぼくは 
お酒を 
のんだあとに 
ここにくるのが 
たのしみだ 
 
ああ・・ 
しかいわない 
おやじの 
笑顔が 
すきだ 
 
ぼくを 
ふくめて 
ここに来る客は 
もくもくとたべ 
一滴のこらず 
スープを 
たいらげる 
 
みんなは 
ここで 
一日の 
終わりを 
スープと 
いっしょに 
のみほす 
 
おやじは 
うごいている 
左手で 
おつりを 
くれる 
 
あるとき  
道路が 
拡張された 
 
町の風景が 
かわった 
 
おやじの 
屋台も 
なくなってしまった