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てれかくしなのか
左手をほほにあて
あごを
すこしつきだして
得意気に
どんな錠前でも
あけることが
できると
鍵屋のおやじはいう

錠前と鍵を
おなじだとおもっている
ひとはたくさんいると
おもうが
まったくちがう

ドアについているほうが
錠前で
さしこんであけるほうが
鍵だ

錠前屋は
だれにもあけれない
錠前をつくる

ぼくらは
鍵を紛失したとき
鍵屋に錠前を
あけてと依頼する

鍵屋は
どんな錠前でも
あける

錠前屋は錠前屋なりに
鍵屋は鍵屋なりに
絶対あけられない
絶対あけると
努力する

ひとの努力は
そんなに
みえるものじゃない

もちろん
錠前屋と鍵屋に
かぎらず
ほとんどのひとは
みえないところで
努力をしている

努力のはなしから
かわってしまうが
錠前と鍵の関係は
とても
官能的だ

そして
ぼくたちは
ほとんど毎日
官能的な行為を
している

でかけるときや
かえったときに
ドアの前で
官能的な行為を
満喫している

今日も
みえないところで
努力をするために
でかけなければならない

ドアをしめて
官能的な行為をして
「いってきます」と
いう

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(写真・くいまる)