イメージ 1


木洩れ日がいきものみたいに
青葉に反射している季節に
女は決心した

優柔不断で現実感のない男を
すてようと

女にとって
男のそうした部分が
かわいくて
ほかの男にはない
感性のように
かんじていた

だから10年以上も
男とくらしてきた

女はかわった
年月が女をかえた

女はかわるものだ
男はかわらないものだ

ある晴れた夏の日に
かくれんぼをしようと
女は男を
森にさそった

女は男と
別れる手段に
かくれんぼをえらんだ

女は男の
ジャンケンのくせを
しっていた

いつも最初に
グーをだすことを

ジャンケンをする
簡単に男は
鬼にきまった

女は木立の陰から
そっと男をみていた

男は右腕を両目にあてて
数をかぞえていた

女はさよならと
つぶやいた

男は数をかぞえつづけた

男が目をあけたとき
女は森に消えてゆく

そしてそのとき
男は鬼のまま
女にすてられる










(写真・くいまる)