途方に暮れて ひとが座り込む
場所は 夕暮れが 似合う
ポケットのなかに 仕舞い込んだ
夢の欠片を 取り出して
手のひらに 握りしめて
歩きださないとね
笑われて しまうからね
西の空に 太陽が 沈むと
あっという間に 風景が 変わる
情けない 安っぽい 家並に
それぞれ 明かりが 灯ると
なんだか とても 安心するね
ひとの 暮らしの 営みが
伝わってくるからね
夢の欠片は 闇の中で
光るかな
手のひらを 開いて
確かめて みれば
ほんの 少し
光ったような 気がした
季節が 変わるね
むかし お爺さんが
いっていた
長く生きてきたけど
春が 来なかった
年は なかったと
夢の欠片を もう一度
握りしめ 歩き
つづけないとね
笑われて しまうからね
笑われるのは いやだよ
笑われるのは いやだよ